椿寿庵

ツバキの10徳

美濃の僧・安楽庵策伝あんらくあん さくでん(1554-1642)は、京都誓願寺の草庵でツバキを収集・愛好していた方で、1630年に『百椿集』という書物を書いています。
その中には「椿の十徳」を挙げており、まさにツバキの魅力・有用性を物語っていました。
安楽庵策伝 - Wikipedia

  1. 1 不老の徳
    年月を経ても老衰の様子を見せない。
  2. 2 公徳を守る徳
    四季を通じて落葉せず、木の足元を汚さない。
  3. 3 相互一致の徳
    接ぎ木をすれば容易に合着し、互いに別個の新花を咲かせる。
  4. 4 謙遜の徳
    普段は目につかない籔に生え、春が来るまで静かに佇む。
  5. 5 清浄の徳
    「椿はもっぱら清水を楽しむ」水のきれいな土地によく育つ。
  6. 6 矜持の徳
    「他家を継いで、己の徳位を失わず」庭の中央でも片隅でも、置かれた場所で咲く。
  7. 7 常緑不変の徳
    秋になって周囲が赤茶色になっても、ツバキだけは変わらぬ緑色に輝いている。
  8. 8 操節を守る徳
    冬になっても枯れず、春に向かって蕾を膨らませる。
  9. 9 奉仕の徳
    栽培者の労に報い、色や形を毎年変えて楽しませてくれる。
  10. 10 厚生の徳
    花弁は布染めに、種から搾ったツバキ油は灯油・食用に適しているほか、頭髪・スキンケアにも最上の効果。
    樹は堅く、家具や日用品に適し、燃やしたあとは火付きが良い焼き炭に、灰は日本酒の醸造に用いられ、葉を焼いた灰は釉薬にもなるといった具合に、余すところなくその身を役立てる。